転職で得られるものと失うもの。転職の本質について。

藤田です。

久しぶりの投稿になりますが、今日は、少し角度をかえて「転職の本質」についてお話していきたいと思います。私の立場から今回のような見解は述べてはならないと感じてはいるのですが、転職に対する誤解が非常にはびこっているように感じていまして、今回のような決断に至りました。

転職する理由は、ひとそれぞれで、例えば、適正に評価をされない、給料に不満を持っている、会社に将来性がない、などが代表的な理由としてあげられるかと思います。

しかし、それが分かった上であえて言わせてもらうならば、その本質は、実は人間関係にあるのではないかと私は思っています。もちろんそうでない方もいますが、私の肌感覚ですと、繕ってはいますが、ほとんどの方が職場の人間関係に悩んで転職活動をはじめていると感じます。

それらについての見解は今後述べるとしますが、今回私がお話させて頂きたいのは転職によって果たしてあなたが望んでいるものが本当に得られるのかということです。

▼転職で得られるものと、失うもの

早速ですが、私の個人的見解では転職によって得られるものよりも、失うものの方が多い気がします。これってものすごく矛盾していますよね。何らかの不満があり、転職するのにも関わらず、転職によって失うものの方が多い・・・。

もちろん、これは私の肌感覚としての数値であり、転職をされた方の中には「転職して本当によかった・・・」などと感じる方も少なからずいらっしゃいます。

ただ、全体から見ると非常に少ないのではないのかと感じます。ではその差異はどこからうまれるのか。

一般的に転職は今現在抱えている不満を解消する為に行ないます。しかし、不満を解消する為に転職したのにも関わらず、転職先では、かなり高い確立で必ず違う不満が生まれます。

例えば今現在、職場の人間関係に悩んでいるとします。もうどうにもならず、転職をする。運良く、職場の人間関係に関する悩みが解消されたとしても、想定していたよりも給料が低い・・・、また残業が多く、残業代も支払われない・・・、この環境は今後も続きそうだ・・・。

そしてそれを解消する為に転職する・・・しかし、転職した職場で多少は給料さえよくなったもののぎすぎすした人間関係に悩み転職をする・・・。

こうなってしまっては転職の堂々巡りです。その度に、それらしく装う為の理由をつくらなくてはならず、転職のたびに、どんどん苦しくなっていって負の連鎖に陥る・・・。積極的に転職活動をする方の大多数が残念ながら、そういった負の連鎖に陥ります。

では、どのように転職と向き合うべきか。前提として、転職によって失うものの方が多いということを理解してください。

失うものとは何かと言えば、それまで築いてきた人脈だったり、その会社でしか使えないスキル、会社のブランドなどなど、あなたがその会社に所属していることによって信用されているものです。

逆に得られることは一般論としてはそれほど多くはありません。運がよければあなたが抱えている悩みを解消できます。運がよければといったのは転職にはリスクが伴うからです。

▼転職はビジネス活動であるという視点を持つ

何度も言いますが転職はビジネスです。あなたという商品を会社に売り込み、買ってもらう為のビジネス活動です。そして語弊を恐れずに言うならば、面接の場は、商品説明の場です。

あなたという商品の価値を企業に伝え、あなたという商品の可能性を感じ取ってもらい、あなたを雇ってもらわなくてはなりません。

また会社側もある一定の基準をもって望みます。会社側も解消したい問題や悩みがあり、それを解決する為に、解決してくれる可能性のある人材を求めています。

しかし、面接の場は、ほとんどの場合、志望者側からの「志願」という形でセッティングされます。会社側が問題や悩みを解決してくれる可能性のある、志願者を募るための「告知」をし転職活動は進んでいきます。

つまり、会社側は商品を買う側であり、こういった商品が欲しいと募集をかけます。そして商品を買うかどうか決定するのはいつも会社側、商品を見定める権利を持っています。

このことからも分かる通り、多くの場合、明らかに転職志望者側の方が不利な立場に立たされています。

▼転職の本質はマッチング

転職活動をひと言でとらえる言葉があるとするならば、それは企業と志望者のマッチング作業だということです。

そして、転職志望者と会社側の利害が一致することによって転職は成功します。

もっと平たく言うならば、会社側が欲しい人材と、転職側が解決したい問題、両方を解決することによって転職は成功します。

表面的な部分をみると、とっても効率的で、有意義な活動のようにも思えます。お互いの問題を解決する活動こそが、転職。

しかし、ここでも問題は生じています。

詳細はこの後述べますが、お互いの持つ利害関係を100%正しく一致させることなど、99.9%不可能だからです。

▼転職活動に潜む罠

例えば転職志望者側の立場に立つと、その会社に入りたいが為に、あれこれと自分を合わせようとします。別にそれが悪いと一概に片付けることはできませんが、多くの場合はそれによりミスマッチが生まれます。

なぜなら、「それらしく装う」からです。

会社側から必要な人材と思われたいが為に、様々な思想を会社の求めている人材と合わせようとします。もちろんありのままの状態、つまりは「素」の状態でそれらが会社の求めているものと一致すれば何ら問題はありませんが、現在の転職システムではそれは不可能です。

また会社側も装います。問題を解決してくれる人材を欲しているのですから、それを解決してくれるような人材が入社してくれるような会社を装わなければなりません。

会社はそれを解決してくれる人材を募集する以前に、多くの問題を抱えています。それらの問題をオブラートに包み込みながら、つまりそれ以外の問題を露呈せずに、人が集まるようにブランディングします。

この「装う」という問題は非常に厄介なのです。

そしてその厄介ごとを生み出しているのが、転職エージェントでもあるのです。

▼転職志望者の現実

転職エージェントは、転職を成功させることでビジネスを成立させています。つまり転職志望者を仲介し、募集している企業に売る事で、収益を得ています。

ひと言で言えば志望者を紹介し、企業側に売る事により収益を得ているビジネスモデルです。それを存続させる為には、常に人身売買と揶揄されるような、紹介を繰り返さなければなりません。

つまり甘い言葉で転職志望者を集め、企業に送り込むことで転職エージェントは生活しています。

転職者がいなければ転職エージェントの生活は成り立たないわけですから、転職エージェントもそれらしく「装い」転職志望者を誘惑します。

しかし、今現在の日本は非常に保守的な社会ですから、採用する側の企業は転職回数が多い人材ほど採用を見送る可能性が高いです。

ということは・・・転職すればするほど、転職志望者側は不利な立場に立たされていくことになります。さらに転職を繰り返すごとに年齢も上がっていきますし、どんどん商品価値は下がっていきます。

今の日本社会において、それが行き過ぎるとどうなるか・・・想像するに難しくありませんよね。もう表面的で何の専門性も持つことの出来ない、薄っぺらい人がそこら中にはびこることになってしまうのです。

さらに、転職エージェントは数字に対する責任を持っています。転職させることにより数字をあげ、それが自分自身の成績として会社に評価されることになります。転職エージェントは名前こそ、カッコいいですが、やっていることとその本質は単なる仲介の営業マンです。

ビジネスであり、ボランティアではありませんから、多くの方を転職に導くことが会社の評価につながります。

▼転職は悪なのか?

では、転職は悪なのかと言えば一概にそうとは言えません。そんな中でも素晴らしいマッチングにより、転職者を成功に導いている転職エージェントがいるのも事実です。

企業側からの視点で言えば、転職エージェントの人材紹介により、社内の問題を解決することができたということもききます。

だからこそ、一概に転職を悪だと言い切ることはできません。

ただ、転職をしてよかったと心から思える人、思える企業は稀だということは意識してください。

若手が枯渇してきたから、若手に価値をもってくれる企業が少なくなってきたからこそ、今度はミドル層に移行しています。

現に転職エージェントは今、どんどんミドル層に移行しています。つまり転職を繰り返したものの年齢が上がってきていることを意味します。

今までは若手だらけを狙っていましたが、今はそういった転職をくぐり抜けた猛者達が集まる30代後半からのミドルの転職を狙いはじめています。

▼まとめ

お金になるからと、こういった表面的な取り繕いがどんどん進行していくと、そう遠くない未来に私たちにとって深刻な被害を及ぼすことは明らかです。

資本主義という経済システムで生きている以上、それは免れないことなのかもしれませんが、私は常々疑問に思って、仕事をしています。

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