中途採用者を募集する企業が重視する本当の意味での即戦力とは

転職で何よりも重視されるのは「即戦力だ」とは良くきく話だ。

しかし実際、企業の採用担当である人事の方に話を聞いてみると転職で必要な即戦力とは、必ずしも私たちが思っているような「即戦力」の事ではない。

つまり転職の面接で言う「即戦力」とは実は必ずしも転職後すぐに使える人材の事ではない。そもそも即戦力の定義が間違って私たちに伝わっているところがある。

そこで今回はそもそも転職の面接で言う即戦力とは一体何なのか、転職ではいったいどういう即戦力が求められているのか、その具体的な話をしていく。是非、この記事を読んであなたの転職活動に役立てていって頂けたらと思う。

1:即戦力採用なのに、即戦力があっても採用しない企業例3社

中途採用は即戦力が何よりも大事、中途採用では即戦力がなければ転職をする事が出来ない。これは転職者の間ではまことしやかに囁かれている噂だ。

即戦力とは、言葉を要約してみると、「転職後、すぐに使える人材」や「転職後、すぐに戦力になれる人材」というのが一般的な考えのようだ。

1-1:転職希望者の実例

そこで企業の採用担当の方に実際に話を伺ってみると、なんとも摩訶不思議な答えが返ってくる。例えばこんな答えだ。

「中途採用だからもちろん、転職者には即戦力として働いてもらえる人物を求める。しかし専門的な知識は問わない」

これはおかしな話だ。なぜなら即戦力の人物を求めているのにも関わらず、専門的な知識は問わないという、一見軸のない的外れな答えを返しているからだ。これだけきくと、採用担当者がブレているようにも感じる。しかしもちろん採用担当者がブレているわけではなく、転職希望者に求めていることには明確な意図がある。

これは一体どういう事なのか。詳しくは後述するが、企業の採用担当者に詳しく話を伺うとその謎が解ける。

1-2:転職希望者の実例

一方でこんな例もある。この話を伺ったのは東京都にある某IT企業の採用マネージャーだ。転職者として40代前後のマネージャーとして即戦力として採用できる人材を捜していた。しかし、転職者の経歴やスキルは申し分なくどの方も即戦力として働く事が出来る人材だったにもかかわらず、何人もの転職希望者と面接をしても一向に採用にはいたらなかった。

ここで大事なのは、転職者のスキルや経歴や人物が、端から見てもそのポジションに就くには、全く問題なさそうな転職者が来てもなかなか採用がうまくいっていなかったということだ。

そこで詳しく話を伺ってみるとこんな話が帰ってきた。

「完成系で出来上がってしまっていて面白くない」

マネージャーとして採用するわけだから、即戦力として使える事は大前提のはずだ。しかし現実には「完成系で出来上がってしまっているから・・・」という理由で企業は採用を見送る。

これは如何にも矛盾している話だ。即戦力なのだから、ある程度完成しているのは当たり前のはずだ。しかもマネージャークラスの人材を求めているのだからなおさらのはず。しかし採用にはいたらない。何故か。

1-3:転職希望者の実例

またこんな話もある。新卒で採用後2年間ほど勤めた会社を辞めることを決意。そのため転職先を探していた。しかし、その転職希望者は何社受けても一向に内定が貰えず苦しんでいた。

そこで原因はどこにあるのか。それを一緒に考えてみる事にした。

一般的に中途採用の面接では総合的な経歴に目を通してピントがずれている転職希望者には面接の機会さえ与えない。だから、書類選考は通っているのだから、とりあえずの第一段階はクリアしている。つまり書類上の経歴は問題ないわけだ。

そこで面接に原因があるのではないかと仮説を立て、実際に模擬面接をしてみるとこんな答えが返ってきた。

「2年間という短い期間でしたが、多くを学び、これ以上学ぶ事はないと考え転職を希望しました」

つまり彼の場合は、裏を返せばこの言葉によって即戦力として転職先の企業で使えることをアピールしている。彼が言う、この言葉が物語るのは「転職先でもすぐに使ってもらえますよ。私はすごいんですよ」ということだ。

1-4:面接官が求めている条件と採用者の思い込み

しかしそもそもの原因はここにある。もしあなたが面接官だとしたら、彼をどんな目でみるだろう。おそらく「2年間で学ぶ事がなくなるほど熱心に働いたのか・・・素晴らしい!」とは絶対に思わないはずだ。

一般的な考え方から言って、「2年間で何が学べるの?」というのが本音のハズだ。つまり彼は採用担当者である面接官の目には不幸な事にも「ポテンシャルが低い」という烙印を押されてしまう。そればかりか面接官の目には「伸びしろがなく、すぐに辞めそう」という印象を抱く。

「すぐに辞めそう」という印象を持たれたら、多くの企業では内定を出す事はない。もちろんそれを裏付けるだけの誰もが納得できるくらいの具体的な事例を出し、面接官を納得させる事が出来たのならそれはまた別の話かも知れない。

しかし一般的に1時間という時間の中でそれを伝えるには相当に作り込んだ一貫した軸とストーリーが必要となる事は言うまでもない。

※詳しくは現役転職エージェントが明かす転職の面接で不採用になる理由57選を参照のこと。

2:企業が求める即戦力とは、「現在までにおいてどんな経験やスキルを保有しているか」ではない。

この3つの実例からわかることがある。

それは企業の採用担当者が考える即戦力とは、私たちが考えている即戦力とは違った意味合いを含んでいると言う事だ。それは必ずしも企業はすぐに使える人材を求めているわけではないということだ。

では企業は転職者に対してどんなスキルを求めているのか。先に答えを行ってしまおう。企業が求めている即戦力の期待できる人材とはこうだ。

2-1:転職の面接で言う即戦力とは

即戦力とは現在のあなたの価値のことではない。今以上に成長したいという「学習意欲や姿勢」と、頭の中の知識を顕在化できる「実行力」のことだ。

つまり、企業の採用担当者である面接官は、今の価値+未来の価値を総合的に判断しているということを忘れてはならない。

面接の場で求められているのは「そのスキルがあります」「はい、それは知っています」ではない。具体的にあなたは今までどのようにして学んできたのか、また今後求められていることをどのようにして実現させる事が出来るのかという具体的なスキルを見ている。

そう考えると中途採用における転職の面接ではいろんなことがみえてくる。

例えば、面接官は必ずこれまでの仕事で一番頑張った事や成果を上げてきた事は何か?をきいてくる。この質問が意味するものは一体何なのか。

面接官はこの質問によって、あなたがどのように問題をクリアしてきたのか、またどのようにして具体的な成果を上げる事が出来たのかを質問している。つまり、そのあげた成果自体が大事なのではない。成果は前提として、最も伝えるべき大事な事は職務経歴書には書かれる事のない、その過程をみているのだ。どのような困難を、どんな方法を使い、どうやって、乗り越えてきたのか。面接官はそこを知りたがっている。

だからそれに対する答えが曖昧だったりするとそれは即不採用に繋がる。逆に言うと、ここが誰もが納得できるものであり、ものすごく具体的かつ明確であるならば、それはあなたを採用する理由に繋がるということだ。

つまりこの何気ないひとつの質問によって、面接官は今までの経験やスキルを、転職先企業でどのように未来に役立てる事が出来るのか、どうやって乗り越えていこうとしているのか、それを応募先企業は知りたがっている。

詳しくは後の記事で話していくが、転職の面接の際、企業が知りたがっているのは実に単純な事だ。

中途採用の面接にのぞむとき転職では、自己PR、志望動機、転職理由が大前提となる。そして、それらを支える一貫したストーリーを構築する。その際には、具体的にどう働きかけてきたのかを述べる。それらを企業が求めている人材と接点を持たせ話すことで面接官に転職後の良いイメージをもってもらう。

つまり今まであなたはどのように具体的、かつ主体的に働いてきたのかを述べ、それらを応募先の企業と結びつけ、かつ転職に一貫したストーリーを持たせる事が出来るのか。

転職の面接の極意のすべてはここに集約される。

3まとめ:

企業から見た面接は「応募者の過去を検証する事で未来との接点をイメージする場」だ。

逆に言えばこれはつまり、転職希望者が応募先企業との「接点」をみつけだし、面接官に「理想的な未来のイメージ」をさせてしまえば面接官との相性がよっぽど悪くない限りは、どんな面接でも通るということだ。

>>転職活動の進め方はこちら

SNSでもご購読できます。

コメント

コメントを残す

*